抗体カクテル療法の現状は…いまのところコロナ治療の「切り札」とはいえない

新型コロナの抗体カクテル療法について説明を受ける菅首相=中央(右は小池知事)/(C)共同通信社

「抗体カクテルは発症から7日以内に点滴で投与しなければなりません。8日目以降では有効性を示すデータがないためです。海外では外来による投与が前提になっているのも、発症から早い段階で実施する必要があるからです。しかし、日本では基本的に入院での投与です。厚労省は外来でも使用できるよう検討していますが、投与してから数時間、容体をフォローできる施設に限られます。開業医や小規模な医療機関では実質的に不可能です。現在、コロナ患者を受け入れている医療機関の多くは、重症患者の入院で手いっぱいですから、軽症の患者さんに広く投与されるまでには時間がかかるでしょう。さらに、抗体カクテル療法の対象になる患者さんは、①50歳以上②50歳未満で基礎疾患がある人③酸素投与の必要がない人、とかなり限定されています。現時点では、感染が増えている若年層にはほぼ使えないのです」

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