患者さん自身が雑談の中などで自分の人生を振り返り、ご家族も初めて聞くような心に残る思い出や、場合によっては悔恨の思いを披露されることもあります。そんな時はいつも共感し、励まし、一緒に笑い、時間を共有するように努めています。それはその会話が不安やこだわりの心を溶かし、患者さんの心を整える効果があると信じているからです。
在宅医療をスタートさせておおよそ1年半後、老衰で静かに旅立たれた96歳の男性。その方は、妻と2人暮らし。実直で寡黙な元銀行マンでした。
療養中は、社交的でおしゃべりが大好きな明るい性格の奥さまと、私たちの会話を常にニコニコしながら聞いていた旦那さん。
そんな奥さまから少しずつ伺った話によると、旦那さんは6人兄弟の長男でしたが、本人が大学生の時にお父さまが亡くなり、兄弟の親代わりとなって弟たちの面倒を見たそうです。本人が奥さまと結婚した時には、一番下の弟さんが中学生だったとか。
最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと