最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

在宅医療が病院と大きく違うのは、コミュニケーションの多さ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 奥さまとは銀行員時代の職場で出会ったということですが、当時は銀座店に転勤になっており、デートはもっぱら銀座だったとか。

 奥さまは女子校育ちで、男性と話すのはドキドキだったけど、嫁いだ時に家に兄弟がいっぱいいて楽しかったと、懐かしそうに旦那さんとのなれ初めを話されていました。

 そんな奥さまが旦那さんが旅立たれた後、しばらくして私たちに語った言葉が印象的でした。

「パパはしっかりした人だった。お付き合いして結婚を申し込んでくれてうれしかった。パパ、私のこと、お嫁さんにしてくれたの。だから後をついていくの。パパが待っているから。心配しないでね。もうちょっと私も頑張るから」

 在宅医療での「会話」は患者さんだけでなく、ご家族の心も養い整えるのです。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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