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「失踪白人女性症候群」は米国社会の病根をあぶり出す

ギャビー・ペティートさんを偲ぶ人たち(C)ロイター

 アメリカでは最近、若い白人女性の失踪事件がテレビを賑わせています。コロナや政治ニュースを上回るほどの大量の報道に対し「失踪白人女性症候群」という言葉まで登場したほどです。

 今回失踪したギャビー・ペティートさんは、ボーイフレンドのブライアン・ランドリーとキャンピングカーの旅に出ていました。ある日、ランドリーが1人で自宅に戻り、その後、ギャビーさんは遺体で発見。ところが今度は、事件への関与が疑われているランドリーが失踪し、まだ発見されていません。

 これが2人の失踪前の楽しそうな映像と共にまるで犯罪ミステリーのように連日報道され、視聴者は取りつかれたように夢中で見ています。

 そこで出てきた言葉が「失踪白人女性症候群」です。

 もちろん正式な病名ではありません。

 アメリカでは多くの失踪事件が起きていますが、大きく報道されるのは白人女性ばかり。黒人が失踪事件の30%を占めているにもかかわらず、ほとんど報道されません。そこに人種偏見があるという批判を込めた言葉です。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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