Dr.中川 がんサバイバーの知恵

さいとう・たかをさんが永眠 膵臓がんは尾道方式ならステージ0でも発見

さいとう・たかをさん(C)日刊ゲンダイ

 すい臓がんの予後を占う上では、手術ができるかどうかがとても重要。そこで、手術ができるかどうかの判断基準があります。「切除可能」「切除可能境界」「切除不能(局所進行)」「切除不能(遠隔転移)」の4つで、前述の血管に浸潤するケースは「切除不能(局所進行)」です。

 手術可能でも大掛かりで、たとえばすい臓と胆管、胆のう、十二指腸に加え、周りのリンパ節や神経、脂肪も一緒に切除する術式だと、手術時間は8時間ほど。すい臓と腸、胆管と腸、胃と腸をつなげる消化管の再建も必要で、体の負担もとても大きい。

 こうした事情から、少しでも早期に発見することが大切です。すい臓がんもほかのがんと同様に早期は自覚症状に乏しく、進行がんで発見されることが多かったのですが、最近は早期発見の方法が確立されつつあるのは朗報でしょう。

 それが、危険因子を2つ以上持つ方には積極的に超音波検査を受けてもらうこと。広島の尾道の医療機関が連携して見いだされたため、「尾道方式」と呼ばれます。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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