中には手術はできても心臓の筋肉である心筋が死んでしまい、手術後に期待通りの働きがなく、亡くなるケースもあるというから恐ろしい。
「このように受診のタイミングを失うと突然死につながったり、心機能が一部停止の状態で生涯を過ごさざるを得ず、生活の質が大幅に低下する場合もあるのです」
■症状がないから病気じゃないは間違い
若いころは心臓病など無縁と思う人も多い。しかし、心臓は1日約10万回、一生のうちに40億回以上拍動する。高齢になると誰でも心臓の機能は低下するし、障害も出やすくなる。「心臓弁」もそのひとつだ。4つに分かれた心臓の部屋を区切り血液の逆流を防ぐなどの役割を持つ。そこに異常が生じるのが心臓弁膜症だ。
「心臓弁膜症の場合も、心機能に問題がなく、弁の状態がそれほど悪くなければ、手術できれいに早く治る。放っておくと弁自体の機能が悪くなり、手術も複雑になる。手術は適応となれば早くやればやるほどそうしたデメリットがなくなります」
心臓手術の名医が語るコロナ禍の治療最前線