心臓手術の名医が語るコロナ禍の治療最前線

なぜいま心臓病の検査が必要なのか? 早期発見・治療の重要性

ニューハート・ワタナベ国際病院総長の渡辺剛氏(提供写真)

「先述したように心臓に関連した病気は軽症では症状がなく、自覚したときには重症化していることが多い。ですから早期発見には検査が必要なのですが、一般内科医が行う健康診断では難しい部分もあります。心臓を専門に診ている医師ならばX線写真に映る心臓の形や心電図のちょっとした波形の異常がわかるし、超音波検査で構造上の心臓の病気もわかる。聴診器で得られた血流の雑音から弁膜症疑いも診断できます。ですから60歳を越えたら、脳、心臓、血管は専門病院でドックを受けられた方がいいと思います」

■通信機器を使って遠隔アドバイスも可能に

 最近では、手近な通信機器で心臓の動きを見守ることができるようになっている。こうしたデバイスを活用するのもいい。

「たとえば、当院の無料ネット外来で、Apple Watch(アップルウォッチ)の心電図Appで記録されたデータの受付をしています。送っていただいた心電図のPDFファイルデータについて相談することができます。心臓は循環器内科で検査してもらい、異常があれば半年くらいのペースで診てもらうといいでしょう。中でも家族に心臓病の人がいる人、コレステロール、高血圧、糖尿病、尿酸値が高い人、ストレスが強い人、太っている人、たばこを吸っている人、睡眠時に息が止まっていたりいびきがひどいなど睡眠時無呼吸症候群の疑いがある人は、異常がなくても定期的に心臓を専門医に診てもらうべきだと思います」

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渡辺剛

渡辺剛

1958年東京生まれ、ニューハート・ワタナベ国際病院総長。日本ロボット外科学会理事長、心臓血管外科医、ロボット外科医、心臓血管外科学者、心臓血管外科専門医、日本胸部外科学会指導医など。1984年金沢大学医学部卒業、ドイツ・ハノーファー医科大学心臓血管外科留学中に32歳で日本人最年少の心臓移植手術を執刀。1993年日本で始めて人工心肺を用いないOff-pump CABG(OPCAB)に成功。2000年に41歳で金沢大学外科学第一講座教授、2005年日本人として初めてのロボット心臓手術に成功、東京医科大学心臓外科 教授(兼任)、2011年国際医療福祉大学客員教授、2013年帝京大学客員教授。

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