たとえば、動脈硬化を抑えるなどの働きがあるホルモンのアディポネクチンの分泌が減少する一方で、食欲を抑えるレプチンが効きにくくなり、血液中からブドウ糖の取り込みを抑制するTNFーαやレジスチン、血管を収縮させる物質の材料となるアンジオテンシノーゲンの分泌が増加する。
その結果、高血糖によって血管内皮が傷ついたり、血管が収縮して細くなって血圧が上がり、血管壁を傷つけたりする。さらに、血管の素材となるコレステロールがどんどん供給されて血管内に蓄積し、それを処理するためのマクロファージの死骸も重なって堆積。血管が膨らみ本来のしなやかさを失い、急速に動脈硬化が進むことになる。
「ほかに気をつけたいのはがん患者さんです。心臓に影響を与える抗がん剤も少なくありません。がん患者さんは定期的に心臓の検査もした方がいいかもしれません」
心臓手術の名医が語るコロナ禍の治療最前線