高齢でもLDLコレステロールを下げると心血管病を防げる コロナ禍で改めて注目

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 動脈硬化が進むと、血管の弾力性が失われて硬くなり、血管の内側が狭くなって血液が流れにくくなる。すると、脳卒中、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、末梢動脈疾患といった心血管疾患を発症しやすくなってしまう。

「LDLは食生活の見直しや運動などで数値を改善することも可能ですが、難しい場合はスタチンなどのコレステロール降下薬による薬物治療が行われます。ただ、75歳以上の高齢者では有用性が低いとされ、米国心臓病学会と米国心臓協会のコレステロール管理ガイドラインでは高齢者のLDLコレステロール低下療法は推奨度が低く扱われていました。動脈硬化は数十年単位で進行するため、ある程度進んでしまった高齢者ではLDLを下げてもそれほど効果が見込めないと考えられていたのです。一方、欧州心臓病学会と欧州動脈硬化学会の脂質異常症ガイドラインは、高齢者の治療を支持しているなど、いまも議論が続いている状況です」

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