東洋医学を正しく知って不調改善

西洋医学と何が違う? 調和が取れている状態=中庸を目指す

天野陽介氏(提供写真)

 西洋医学が健康基準を「恒常性」にしているのに対し、東洋医学では「変動性」を健康の基準に置いているのです。

 たとえば、有名な風邪の漢方薬、葛根湯があります。背中がぞくぞくして、頭痛がして汗が出にくい時に処方され、この“ぞくぞく”がなくなることで風邪が治るとされていますが、葛根湯は飲むといったん飲む前よりも体温が上がることも珍しくありません。なぜあえて発熱する患者に投薬して、体を温めるのかといえば、これも「抗病反応」を適正化するためなのです。決して熱冷ましではないということです。

 このように西洋医学と東洋医学の違いを理解した上で、自分のライフスタイルに合った治療方法を選んでいただければと思います。

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天野陽介

天野陽介

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。北里大学東洋医学総合研究所医史学研究部客員研究員も務める。日本伝統鍼灸学会、東亜医学協会、全日本鍼灸学会、日本医史学会、日本東洋医学会所属。

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