進化する糖尿病治療法

SGLT2阻害薬 日本で初めての慢性腎臓病治療薬として承認

倦怠感、息切れなどの症状にも注意(写真はイメージ)

 昨年8月、SGLT2阻害薬である「フォシーガ」が、日本で初めての慢性腎臓病(CKD)の薬として承認されました。SGLT2阻害薬は2014年に2型糖尿病の治療薬として発売され、一部は19年に1型糖尿病の治療薬としても承認。糖尿病治療では、非常によく用いられている薬です。

 SGLT2阻害薬は糖の排泄を促進するとともに、尿中への水分と糖の排泄を促進するので体液量が調整され、降圧薬ではないのですが血圧を低下させる作用も報告されています。同剤や「ジャディアンス」は慢性心不全にも適応拡大されています。また、SGLT2阻害薬には腎臓で尿を濾過する糸球体の内圧を低下、腎臓の負担を軽減させる働きがあり、今後は他剤においても心不全、腎不全の適応が広がると考えられます。

 今回の承認では、2型糖尿病を合併しているかどうかに関係なく、成人のCKDに使えるようになりました。ただし、末期腎不全または透析を実施中の場合には使えません。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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