コロナ後遺症は感染で起こる「炎症」が関係 嗅覚障害のプロセスが判明

感染者は減ってきたが…(C)日刊ゲンダイ

「今回の研究では、ウイルスに感染させたハムスターの血清を別のハムスターに注入することで嗅覚障害を起こす病態が生じました。このことから、新型コロナウイルスは感染した細胞から別の細胞に感染拡散するのではないと推察され、嗅覚障害など全身にさまざまな症状が出るのは、感染で起こる免疫細胞の反応によって放出された炎症性サイトカインが、血液などの体液を介して全身に広がり、細胞の遺伝子レベルの変化を生じさせるためという可能性が考えられます。嗅覚障害に関係する嗅神経細胞は、脳の多くの領域とつながっています。ですから、鼻腔で起こった免疫細胞の反応=炎症が脳にも影響を与え、嗅覚受容体の転写が元に戻るのを妨害する『細胞核記憶』のような現象が相まって、倦怠感、記憶障害、ブレインフォグ、抑うつといった後遺症に関係している可能性があるのです」

 国内外の報告では、オミクロン株は50~90%程度が無症状か軽症とされ、米ロサンゼルスの感染者約7万人を調べた研究では、デルタ株に比べて症状が出る人は50%程度、ICU入院は74%少なく、死亡は91%少ないと報告されている。

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