がんと向き合い生きていく

患者にとっては嫌な「骨髄穿刺検査」は一瞬で終わる

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 骨髄穿刺は、胸の真ん中の胸骨でも行われます。背臥位(あおむけ)で寝て、胸の真ん中を消毒し、滅菌済みの中央に穴があいた布をかぶせます。そこで同様に麻酔し、骨髄液の採取を行うのです。胸骨の場合、体表から浅い位置に骨があるのでやりやすいのですが、被験者にとっては針を刺す場所が顔に近いので、嫌な印象を受けるのではないでしょうか。

 私が国立がんセンター(現在の国立がん研究センター)でレジデントを務めていた頃、ある決まった曜日に外来患者の骨髄穿刺当番に当てられていました。患者は外来診察を中断し、骨髄穿刺を行う処置室にやってきます。

 検査はカーテンの奥にあるベッドで行われます。骨髄穿刺を実施する際は、術者、看護師、補助担当(プレパラートにスメアを引く)の計3人が必要です。約0.3ミリリットルほど吸引された骨髄液は、すぐにガラスのプレパラートに薄く引かれ、ドライヤーの冷たい風で乾かします。このプレパラートが5~6枚できると血液検査室に運ばれ、ギムザ染色が行われます。1時間ほどで染色は終了し、その段階で顕微鏡観察が可能になります。さらに、残った骨髄の凝血塊をホルマリンに入れて、病理検査に出します。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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