最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

患者さんが利用する栄養食品の購入で貴重な体験をした

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 そのため患者さんへの請求額は、月によって変動してしまい、患者さんやご家族に対して不信感を持たれてしまったのです。また請求書を起こすクリニックのスタッフも、同じ品物なのに毎回、数字の違う卸売業者さんからくる請求書を確認し、そのたびに価格の項目を請求書のシステムに登録し直す必要がありました。事務処理にも手間がかかるし、事情を知らない患者さんやご家族からは問い合わせはくるわで、想像以上の労力がかかることになったのでした。

 そのため、みんなで検討した結果、値の変動を考慮に入れたバランスの良い値段に設定し直し、さらに患者さんやご家族がネット通販などで購入もできるように改善したのでした。

 このように、小さな日常の中に潜む問題を見つけ解決することもまた、「在宅医療」における患者さんとご家族のQOL(生活の質)向上に意味があると考えるのです。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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