名医が答える病気と体の悩み

足がくさい…臭いで深刻な病気かどうか分かるのか?

皮膚科医の宇井千穂氏(提供写真)

 皮膚の病気以外では、過剰な汗が分泌される「多汗症」でも、足の裏の汗が多くなって蒸れることで臭うケースがあります。

 深刻な病気でいえば「糖尿病」があげられます。合併症の症状として、血液循環障害や末梢神経障害により、歩行などでできた足の裏の傷から細菌感染を起こして臭いが生じます。傷口から膿が流出して強い悪臭を放ちますが、多くはすでに糖尿病が進行している患者さんで見られるケースなので、炎症がひどいのに本人は痛みやかゆみなどの症状を感じにくくなっています。「足の臭いが気になる」と、水虫を想定して皮膚科を受診したときに発覚するケースもあります。手遅れになれば壊疽状態となって、切断を余儀なくされる場合もあるので注意が必要です。

 とくにきついアンモニア臭がある場合、胃潰瘍などによる胃の消化機能の低下や、肝臓や腎臓の機能が低下している可能性もあります。通常、アンモニアは体内で分解され処理されるはずですが、内臓の消化機能が低下して体内に残ってしまうと、汗腺に乗って空気中に排出されるのです。そのため、口臭だけでなく、脇や足の裏など意外な場所からの臭いでも明らかになります。

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