役に立つオモシロ医学論文

買い物を楽しんで健康増進 リハビリ成功のカギは「ナッジ」にあり

楽しみながら運動ができる(C)日刊ゲンダイ

 高齢化が進む先進諸国では、高齢者の身体機能や認知機能の低下が社会問題となっています。そのため、専門家による適切なリハビリ(リハビリテーション)は、高齢者の生活の質を維持・改善する上で重要な役割を担っています。

 一方で、運動を継続的に行わなければいけないリハビリは、心身に負荷をかけることもあるでしょう。そのような中、楽しみながらリハビリに参加できる「ショッピングリハビリ」に関する研究論文が、環境科学の国際誌に2022年1月5日付で掲載されました。

 この研究では、島根県に在住している高齢者59人(平均86歳)が対象となりました。被験者は自宅から商業施設まで送迎され、6カ月間にわたり月に平均4回のショッピングリハビリを受けています。このリハビリは、買い物を楽しみながら自然に運動ができるように設計され、作業療法士の支援のもと専用のショッピングカートを用いて行われました。被験者はまた、身体機能などに関する25点満点のアンケート調査(点数が高いほど状態が悪化、8点以上は生存率の低下と関連)を受け、点数の変化が比較されています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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