進化する糖尿病治療法

お酒を飲まない人の肝炎は「2型糖尿病」の低血糖リスクを上げる

写真はイメージ

 また、重症低血糖を起こした人はそうでない人と比べて、高齢で、BMIが低い低体重者で、女性の方が男性よりリスクが高いことも分かりました。

 同じアジア人とはいえ、韓国人のデータが日本人にそのまま当てはまるとは言えないものの、重症低血糖は命にも関わる重篤な症状ですから、NAFLDの人は低血糖に、より注意をすべきことが初めて示唆されたと言えるでしょう。

■自己判断で放置している人も

 NAFLDは、欧米で20~40%、日本で9~30%と報告されていて、12年の日本での大規模調査では29.7%という数字が出ています。エタノール換算で男性30グラム/日、女性20グラム/日未満の飲酒量でNAFLDを発症し、ほとんど進行しないNAFL(非アルコール性脂肪肝)と、肝硬変や肝臓がんの発症につながるNASH(非アルコール性脂肪肝炎)に分かれます。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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