進化する糖尿病治療法

お酒を飲まない人の肝炎は「2型糖尿病」の低血糖リスクを上げる

写真はイメージ

 NAFLDは血液検査や画像検査で診断がつきますが、NAFLかNASHかは、生検を行い病理学的に鑑別するしかありません。

 NAFLDが判明したからといって、つらい肝生検を全員に行えるわけではないので、NAFLDが判明したら、すべからく、その症状を進ませないための治療が必要です。

 それは、肥満があるなら食事や運動療法による減量(まずは、体重マイナス7%を目指す)、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの基礎疾患があるなら、それらに応じた薬物治療になります。

 ただ、肝臓は沈黙の臓器といわれる通り、進行するまで自覚症状がありませんし、特にNAFLDの人は、お酒を飲まない、飲んでも少量だからか、肝臓が悪くなるとは夢にも考えていない人が珍しくありません。過去に肝機能が悪いと指摘されたことがあるのに、「大丈夫だろう」と自己判断で、放置している人も少なくありません。

 しかし、特に太っている人は、NAFLDの可能性が否定できません。健康診断をしばらく受けていない人は、肝機能に異常がないか、ぜひ調べてみてください。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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