がんと向き合い生きていく

日本が世界に誇る胃がん早期診断は佐野先生の貢献が大きい

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 そうした研さんの積み重ねもあって、胃がんを早期で、また微小な胃がんを見つけることは、世界にも類を見ない、誇れる、日本の得意な分野となりました。

 また、外科医の巧みな手術技術により、日本は胃がんの生存率も世界一になりました。それには、佐野先生の貢献が大きかったと思います。

 そんな早期胃がん診断のパイオニアだった佐野先生は、1976年に亡くなられました。

■ピロリ菌についてどう考えただろうか

 近年、胃がんの原因になるとされている「ヘリコバクター(螺旋型細菌の意味)・ピロリ(胃の出口・幽門の意味)菌」は以前から、顕微鏡で慢性萎縮性胃炎の中に見えていました。それでも酸の強い胃の粘膜に細菌は、すめないと考えられ、問題にしていませんでした。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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