60歳からの健康術

眼科編(7)網膜剥離は加齢で増える 光の点滅が突然見えたら注意

写真はイメージ

 網膜とは、光に反応して色や形を感じ取る「視細胞」が1億個以上も集まった薄い膜のこと。目の中に入ってきた光が像を結ぶスクリーンの働きをする。網膜剥離はその薄い膜がはがれる病気だ。ボールが当たったり、打撲を受けたりしたことによる眼球の急激な変形で起きるケースもあるが、40歳以降の眼内の加齢変化によって突然、生じることが多い。自由が丘清澤眼科(東京・目黒区)の清澤源弘院長が言う。

「年をとると硝子体が縮小していきます。硝子体は眼球の内部の大部分を満たす無色透明のゼリー状のもので、カメラでいうレンズにあたる水晶体の後ろに接し、眼球の奥を満たして眼球の形を保つ役割をしています。健康な人が目を動かすと、硝子体は網膜の上を自由に動き回れますが、一部が網膜に癒着すると網膜を引っ張り、穴を開けてはがします。これが網膜剥離です」

 網膜がはがれても痛みはない。ただ、目をつむると光の点滅が見えたり、多くの浮遊物や斑点、線、またはクモの巣状のものが見えたり、また直線が曲がって見えたりし、やがて視野が欠けることになる。

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