ところが漢方薬では、症状と患者の体質から「証」を判断し、証に合った漢方薬を使います。同じ糖尿病であっても証が異なれば、使う薬も異なるのです。つまり、エビデンスで重視する「同じ病態であれば同じ治療効果が得られる(一般化)」「効果を再現できる(再現性)」に、漢方薬はたやすく到達できるものではないのです。
加えて、漢方薬は自然由来の生薬を原料としており、生薬の産地や採集時期で含有成分がまちまちの一面があるため、薬の規格の統一化が困難。それに加えて、一つの処方が複数生薬で構成されているため、作用成分などを解明できないこともあり、一般化や再現性に影響を与えます。
前述の通り、研究者の努力で漢方薬のエビデンスの構築が進んでいます。ただ、エビデンスの得られた漢方薬の大半は「証」を用いない試験に基づくもの。本来の「証」に合わせた処方ではない、西洋医学の薬のような画一的な処方になりがちです。
東洋医学を正しく知って不調改善