年間143万人死亡の多死社会ニッポンでなぜ「在宅診療」は普及しないのか

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「在宅診療を真面目に行おうとするほど、緊張感の中で、患者やその家族の痛みや苦しみ、葛藤と向き合い続けることになります。病院は、医療従事者のホームタウンなので、多少傲慢なドクターがいても『しょうがないわね、お医者さまだから』で済まされがちです。しかし、在宅診療では決して許されません。患者の『ホーム』であるため、患者やその家族は病院のような圧迫感や緊張感を感じることなく、言いたいことや聞きたいことを口にします。在宅診療する側は、それを受け止め、病状だけでなく生活環境、介護体制、金銭面での不安、家族の看取りへの思いなど、いのちの周りにある幸せや痛みに寄り添い続けていくことが求められるのです」

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