通常、BSCが選択されるのは、がんが進行して標準治療がなくなった場合。最初からBSCをチョイスするのは極めて例外的です。
大腸がんが見つかった当初、ひょっとすると症状がなく、そのときと同じ体調のまま最期を迎えられると誤解して、BSCを選択したのかもしれません。実際、その誤解を持っている人が珍しくないのが現実です。
しかし、大腸がんに限らず、どんながんであれ早期はほとんどが無症状で、がんが大きくなるにつれて周りの臓器や神経を圧迫したりして、さまざまな症状が現れることがほとんどです。
島田さんは、大量出血が残念な結末の引き金になりましたが、それまで無症状で突然、大量出血することはまずありません。たとえば、原発部位が大きくなると、便の通り道が塞がれて腸閉塞に。それを放置すると、腹膜炎を起こしてかなりつらい。診断時に転移があったのかどうか不明ですが、いずれにしても原発部位だけでも手術で切除しておいた方が楽だったと思います。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵