名医が答える病気と体の悩み

もし自分が認知症になったら…どこまで自覚できるのか?

加齢による物忘れがほとんど(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 一方で、家族や周囲の方に付き添われて来られる患者さんはほぼ認知症の診断を受けています。そのため、社会のコミュニティーに属さず、独居の高齢者は発見が遅れます。

 しかしまれに認知症を自覚できるケースもあります。

 アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症のような進行性の認知症ではなく、脳梗塞が原因の「血管性認知症」では、初期には記憶障害の出現は少ないため、ヒントを与えると思い出せるケースが多く、自覚できる方もいます。

 認知症の前段階といわれる「軽度認知障害(MCI)」も無気力になったり、物忘れが症状になります。

 自身で忘れっぽくなったと自覚できますし、この時点で治療を始めれば進行を遅らせることができます。

 もっとも、「軽度の認知症」の患者さんの場合、自覚ができる方もいる分、ご家族の配慮が大事になります。本人に「認知症なんだから」と言って責めたり、なんとか改善させようと数学や漢字ドリルをさせる方がいますが、患者さん本人のストレスとなり、急激に認知症が進行してしまうことがあるのです。

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