感染症別 正しいクスリの使い方

【麦粒腫】点眼薬と眼軟膏は清潔に使う 悪化すると切開が必要に

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「麦粒腫」とは、まぶたにあるマイボーム腺やまつげの根元の脂腺の急性化膿性炎症を指します。一般的には「ものもらい」と呼ばれていますが、これは主に東日本で使われている俗称で、近畿地方で多い呼び名は「めばちこ」です。近畿地方の中でも特に京都府や滋賀県では、「目」+「いぼ」が語源だと考えられる「めいぼ」の使用が多くみられます。

 ちなみに私が住んでいる広島県では「めいぼ」の省略形である「めぼ」という呼び名が大多数です。他にも面白いところでは、熊本県の「おひめさん」、宮城県の「ばか」、長野県の「めこじき」、北海道の「めっぱ」、沖縄県の「おともだち」などがあります。

 ロート製薬のホームページに「ものもらいMap」というページがありますので、そちらを見れば自分の住んでいる地域での呼び名がわかるかもしれません。

 麦粒腫は主に黄色ブドウ球菌に感染し、まぶたの裏側などが腫れて痛む病気です。悪化した場合には切開による膿の排出などが必要になるので、腫れの程度によっては眼科を受診するべきでしょう。通常の治療には抗菌点眼薬や眼軟膏が用いられます。点眼薬を使用するときは、手指消毒を行って清潔な状態で点眼してください。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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