なぜここまで強く言うか──。それは、原則として1度悪くなった腎臓は回復しないからなんです。だからこそ、健康診断で早く見つけるのが望ましい。これが、腎臓の啓発活動を行う医師として最も声を大にして言いたいことです。
腎機能が低下していないかどうかは、血液検査の「eGFR」と尿検査の「尿たんぱく」の数値を見ます。私の考えでは「eGFRは腎臓の通信簿、尿たんぱくは腎臓からのSOS」。
簡単に説明すると……。eGFRは、腎臓の「糸球体」で、1分間でどれほどの血液をろ過しているかを示す値。腎臓の働きが悪くなると、処理できる血液量が低下します。私は患者さんに「eGFRは、若い健康な人の腎臓を100%としたとき、いま自分の腎臓は何%動いているかを見る検査項目」と伝えています。60%以下なら慢性腎臓病の可能性が、10%以下なら人工透析が必要になるというイメージでよいでしょう。
健康長寿のカギは腎臓にあり