役に立つオモシロ医学論文

度重なる緊急事態宣言で日本人は“コロナ疲れ” 都道府県をまたいだ移動量を解析

2020年GoToトラベルキャンペーン時、多くの人でにぎわうJR新大阪駅改札内(C)日刊ゲンダイ

 その結果、1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4~5月にかけて、人の移動量は1億6600万件から1億2100万件に減少し、5月には1億1200万件へとさらに減少しました。特に地理的に遠方である都道府県への移動量が大きく減っていました。

 ただし、緊急事態宣言が発令されるたびに、移動量に対する減少効果は弱まっていました。一方で、GoToトラベルキャンペーン期間中では、人の移動量が増加し、移動量の増加と感染率の上昇にも関連性を認めました。

 論文著者らは、「緊急事態宣言が発令されるたびに、移動量の減少幅は小さくなり、コロナ疲れという、社会現象との一致が確認された」と結論しています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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