「冬の脱水」を甘く見てはいけない マスク着用に乾燥が重なって…

写真はイメージ

「さらに脱水が進むと、血液量が減って毛細血管はもちろん、冠動脈や腎動脈などのやや太めの血管でも血液の循環が悪化します。血圧も低下して、体内の臓器に十分な血液を送り込めなくなるため、さまざまな臓器不全を起こしやすくなってしまうのです。脳や心臓の血流低下も危険ですが、それ以上に注意すべきなのが腎臓へのダメージです。腎臓への血流量が減ると、老廃物がうまく排出できなくなります。これが体に蓄積して腎炎を起こし、糸球体自体が傷ついて腎臓の機能が低下します。これが急性腎障害で、さらに悪化して腎不全につながる危険があります。腎不全になると心不全が生じやすくなり、全体の血液循環が悪くなって、さらに腎臓を含む各臓器の血流が低下します。最終的に多臓器不全に陥って、最悪の場合、命を落とすこともあるのです」

 脱水で血液量が減ると、血液の粘度も上がる。赤血球の柔軟性がなくなり、白血球がくっつきやすくなり、血小板が固まりやすくなっている状態で、血球が柔軟に変形できないため毛細血管での血流が悪くなり、血液が固まって血栓ができやすくなるのだ。生成された血栓が脳の血管に詰まれば脳梗塞、心臓の血管に詰まれば心筋梗塞につながり、いずれも命の危険を伴う。

3 / 4 ページ

関連記事