「不妊治療」いま押さえておくべきこと 保険適用になって8カ月…何が変わった?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 一例を挙げると、近年注目されている病態として、慢性子宮内膜炎がある。軽度の炎症が持続的に子宮内膜に起こっていることを指し、着床不全や妊娠初期の流産の原因の一つとして考えられている。体外受精や顕微授精を受けている人の中には胚移植を何度しても着床しない人が15~20%いて、そのうち14~67.5%が慢性子宮内膜炎という報告もある。

「自覚症状がなく、検査しないとわかりません。これまでは不妊治療で持続して着床できない場合、検査をし、慢性子宮内膜炎があればその治療によって妊娠に至る道を探るという選択肢もありましたが、慢性子宮内膜炎は新しい疾患概念のため保険診療の対象となっていないのです」

 それでも慢性子宮内膜炎の検査・治療を、となると、それ以外の一連の治療が自費になる。打てる手があるかもしれないのに、それを選ぶと膨大なお金がかかるとなると、患者、医師双方とも悩ましい。不妊治療への保険適用は始まったばかり。臨床現場の声を拾い上げ、不妊治療の実態に沿ったものに近づいていくことを期待するのみだ。

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