「子供の時に発症すると軽症で済む」などといわれるように通常は大きな合併症もなく自然に治癒することも多いのですが、小児でも頭痛や吐き気を伴う無菌性髄膜炎やムンプス難聴などの合併症を引き起こし、聴力障害や不妊などの後遺症が残る可能性もあるため注意が必要です。また、思春期以降の男性は精巣炎、女性は卵巣炎などの合併症も知られています。
ムンプスウイルスに対する有効な薬は存在しないことから、ワクチンの予防接種がとても大切です。ワクチンにおける予防効果は高く、合併症の発生率も有意に低下させると報告されています。そのため、多くの先進国ではムンプスワクチンの定期接種が行われています。
日本では1989年から麻疹・風疹・ムンプスの3種混合ワクチンが定期接種として導入されました。しかし、ワクチン関連の無菌性髄膜炎が発生したことを受け、1993年にムンプスの入った3種混合ワクチンの定期接種は中止されています。現在、日本小児科学会などではムンプスワクチンの安全性などを再検討するべく接種者を登録・調査しています。安全性が認められれば、再び定期接種になる道も見えてくるかもしれません。
ただし、この調査は本年3月末までとなっています。1例でも多くの方の登録が必要です。1~6歳でムンプスワクチンを接種されるお子さんの保護者の皆さまも、担当の医師に協力の意思を示していただければ幸いです。
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