新型コロナワクチンはなぜ“企画倒れ”なのか 京大医生物学研究所准教授に聞く③

ワクチン接種を受ける対策分科会の尾身会長(代表撮影)

 新型コロナウイルスを積極的に解説している京都大学医生物学研究所ウイルス共進化分野准教授の宮沢孝幸氏。獣医師の宮沢氏がそれを行う理由は、新型ウイルスはほぼすべて動物由来であり、主に獣医師がその危険性を顧みず研究を続けてきたからだ。そのひとりとして未曽有の国難にこれまでのウイルス研究の成果を役立てたいと考えたからに他ならない。その宮沢氏に何かと話題の新型コロナワクチンについて聞いた。

「今回、日本国内で新型コロナウイルス感染症対策として接種されたのは主にmRNAワクチンです。これほど大規模な接種は人類初の試みです。しかし、私はこのワクチンは元々“企画倒れ”だったと考えています」

 一般的なワクチンは病原体を不活化させるか、毒性を弱めるかしたものなどを体内に注入することでヒトが本来持っている免疫を誘導して感染や重症化を防ぐ。今回は新型コロナウイルスの表面にある突起状の「スパイクタンパク質」を合成する設計図(mRNA)を体内に送り込むことで、「新型コロナウイルスが侵入した、防御態勢を取れ」と体に認識させる。その結果、スパイクタンパク質が細胞に結合しないようにする抗体が大量につくられ、ウイルスが細胞に感染しないようにする。

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