医療未来学者が語る 5大国民病のこれから

診断支援アプリとウエアラブル機器が脳梗塞の治療や予防を変える

超急性期の治療が不可欠

 脳卒中とは脳血管に障害が起こる病気の総称で、代表的なものに脳の血管が詰まる脳梗塞と、脳血管が破れる脳出血、くも膜下出血がある。このうち65%を脳梗塞が占め、その主な原因は高血圧で喫煙や飲酒などの生活習慣に関わるといわれている。その診断と治療は今後どう変わるのか?医療未来学者である奥真也医師に聞いた。

「脳梗塞は認知症関連疾患に次いで要介護になる確率の高い疾患です。要介護を回避するには脳のダメージが少ない超急性期の治療が不可欠です。そのためには、非専門医による治療がどこまで拡大できるか、が課題で今後はそれがクリアされていくでしょう」

 現在、脳梗塞は発症から4.5時間以内にt-PA血栓溶解剤を投与することが重要だとされている。脳へのダメージが少なく、介護になる率が低いからだ。その一方で、投与後に脳内出血を起こす場合もあり、投与には頭部CTあるいはMRIといった画像検査や専門医が必要とされてきた。そのため、この治療法ができる地域にはばらつきがあった。

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奥真也

奥真也

1962年大阪生まれ。東大医学部卒業後、フランス留学を経て埼玉医科大学総合医療センター放射線科准教授、会津大学教授などを務める。その後、製薬会社、薬事コンサルティング会社、医療機器メーカーに勤務。著書に中高生向けの「未来の医療で働くあなたへ」(河出書房新社)、「人は死ねない」(晶文社)など。

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