医者も知らない医学の新常識

「五十肩」は糖尿病を疑え 骨や筋肉の老化といわれるが…

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 肩が急に上がらなくなって痛みを感じる、いわゆる「五十肩」は、主に50代から60代で多いためにその名前がありますが、40代より前の若い年齢でも起こることがあります。正確な病名は「肩関節周囲炎」と言って、肩関節の周辺に炎症が起こるのです。その原因は骨や筋などの老化だと説明されていますが、実際には不明な点も多いのです。

 五十肩は甲状腺機能低下症や動脈硬化性疾患とも関連があるという指摘があります。そして、最も関連が深いと考えられているのが糖尿病です。糖尿病には多くの合併症があります。その中であまり知られていないのが筋肉系の合併症です。こむら返りのような筋肉のけいれんや、筋力の低下、炎症などが知られていて、五十肩との関連も指摘されています。

 今年のイギリスの医学専門誌に掲載された論文によると、これまでの症例対照研究という種類の6つの研究をまとめて解析した結果として、糖尿病では五十肩になるリスクが、ない場合と比較して3.69倍増加していました。その他の、より精度の高い研究結果でも、そこまでではないものの30%以上の増加が認められました。

 原因はまだ不明ですが、糖尿病があると五十肩が起こりやすいことは間違いがないようです。五十肩は老化のせい、と決めつけないで、糖尿病の可能性もチェックした方がよさそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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