潰瘍性大腸炎とクローン病の総称「IBD」とはどんな病気? 患者推計は29万人

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 一方で、IBDの認知度は低い。2020年実施の意識調査では、社会一般の9割がIBDについて認知していないとの結果が出た。今回この記事を書くにあたって記者が周囲に聞いてみると、「胃腸関連の病気?」「安倍晋三がかかっていた?」「聞いたことがない」といった返答が多かった。

 IBDのひとつ、潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜が炎症でただれる原因不明の病気だ。記者の周囲の何人かが挙げた通り、故・安倍晋三氏が患者であることを公表していた。

「根本的治療法はなく、症状が良くなったり悪くなったりを慢性的に繰り返しますが、ほとんどの人が適切な治療で通常の生活を送れるようになってきました」

 クローン病も、原因不明の炎症性の病気だ。消化管のどこにでも炎症は起こるが、特に小腸、大腸、肛門周囲に起こる。やはり根本的治療法はない。潰瘍性大腸炎と似ている部分があるが、明らかに違う病気だ。

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