感染症別 正しいクスリの使い方

【真菌性眼内炎】目の中にカビが侵入して発症 カテーテル留置の合併症も

免疫力が低下しているとなりやすい

 この中心静脈カテーテル留置の合併症として問題となっているのが、カンジダによる真菌性眼内炎です。治療開始が遅れてしまうと失明の危険性も高くなります。いかに早めに気づいて治療を開始するかが重要なのです。中心静脈カテーテルを留置されている時は、目のかすみや、蚊のようなものが飛んでいるように見える症状(飛蚊症)など、真菌性眼内炎の初期症状を見逃さないことが大切です。進行してしまうと充血、視力の低下、失明の危険もあります。 治療は主に抗真菌薬の点滴治療が行われますが、カンジダの治療に多く用いられるキャンディン系の抗真菌薬は眼球の奥の硝子体への移行が不良なため、アゾール系など他の抗真菌薬を用いるといった注意も必要になります。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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