今回の研究対象になった5万3000人は“素養”がはっきりわからないため、これといった基礎疾患がなく、もともと心臓血管疾患のリスクがとても低い健康な人たちがサンプルになっている可能性があるので、結果をうのみにするのは注意が必要です。ただ、それでも「適度な飲酒がストレスを緩和し、心臓にとってプラスに働いた」と考えられるのはたしかです。
実際、ストレスは心臓にとって大敵です。ストレスを受けると交感神経が優位になり、興奮に関わる神経伝達物質のアドレナリンが通常以上に分泌されます。アドレナリンは少量でも心拍数を増加させたり、血流を増やして血管を収縮させるため、血圧が上昇します。それだけ、心臓の負担が増えてしまうのです。さらに、ストレスによって炎症細胞が放出され、過剰になると血管を障害して動脈硬化プラークができたり、動脈瘤を形成したりすることもわかっています。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」