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心を蝕む「ガスライティング」…40年代のアメリカ映画から生まれた

写真はイメージ(C)iStock

「ガスライティング」という言葉をご存じですか? 

 1944年のアメリカ映画「ガス燈」は、主人公が夫から心を操られ、自分の感情や現実の認識が信じられなくなるまで追い詰められて行くストーリーでした、これが元になって生まれたのが「ガスライティング」です。

 DVが問題になっている昨今、肉体的な暴力ではなく、言葉や態度によって傷つけられるケースも少なくありません。そういう時にしばしば使われるのも「ガスライティング」。ここで注意しなければならないのは、「ガスライティング」で使われるのは、日常でよく聞かれる何気ない言い方だということです。

 例えば「君はクレイジーだよ」。

 映画「ガス燈」で使われたように、相手の合理性を疑うかのような言い方は、ガスライティングの定石です。

 また「君は過剰反応している」「ただの冗談じゃないか」と相手の反応や感情を軽くあしらう言い方もガスライティングです。さらに「あなたが私にそうさせたのだ」と責任をなすりつけたり、「君を愛しているから言っているんだ」と愛情を盾にしてくる場合もあります。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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