医師の診療においても、AIをどこまで利用し、利用しないのか、よく考えなければならない時代になってきたように思います。AIの利用によって、経験の深い医師と同じレベルの、精度の高い医療が実施できるようになるのかもしれません。しかし、ある面ではまったく違っていることもありうるのです。
■医師が自分で考えなくなる恐れ
たとえば、内視鏡検査では、カメラを操作するのは医師です。検査中に少し広い隆起がある箇所を見つけた場合、AIは「生検の指示」をしてくれます。それによって、診断がより正確になる、見落としが減る、熟練した医師の目の代わりになってくれるかもしれません。
見つけた隆起のどこを生検するのかは、医師のスキルや手技にも関係してきます。それが、AIに頼り切ってしまうようなことにならないか、私は心配になります。なぜ、AIが生検を指示したのか、検査医がそこを考えなくなることはないのでしょうか? 相手は機械です。まったくの間違いなのかもしれないのです。
がんと向き合い生きていく