東洋医学を正しく知って不調改善

更年期障害に関する東洋医学における治療はどんなものなのか

更年期障害に処方する漢方薬は数多くある

 更年期障害とは、閉経前後(45~55歳)の女性に見られるさまざまな心身障害のこと。主な症状として、気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、不安、情緒のアップダウンが激しくなるなどの精神的不調と、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)、動悸、頭痛などの身体的不調などがあります。

 西洋医学では、原因を女性ホルモンの減少と捉え、ホルモン補充療法などの治療が行われます。

 一方、東洋医学では加齢に伴った腎の衰えが土台にあり、陰陽バランスの崩れ、気・血・水の滞りなどが絡み合った結果だと考えています。

 更年期障害の薬物療法ではホルモン補充療法・向精神薬と並んで、漢方薬がよく用いられます。

 代表的な処方を数種挙げてみましょう。イライラ、落ち着かない、のぼせ、不眠などの精神的興奮が見られる時には「加味逍遥散」。全身の冷え、腰や膝の重だるさ、下肢のむくみ、頻尿などが見られる時には「牛車腎気丸」。下腹部や下肢の冷えと顔のほてりが同時にある時には「桂枝茯苓丸」などがあります。

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王瑞霞

王瑞霞

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。中国山東中医薬大学卒業。中国北京中医薬大学大学院修了。日本大学医学部医学博士。鍼灸師、登録販売士。

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