老親・家族 在宅での看取り方

90代夫婦2人暮らし 認知症を患いつつも楽しく暮らしていたが…

認知症といっても程度はさまざま(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 私たちのところに往診の依頼があり、すぐ駆け付けたところ、体温は34度。すでに低体温症となり、意識レベルも落ち、生命の危機といえました。

 もしかしたら回復の見込みがないかもしれない。病院で治療するか、または、この後大きく回復する見込みがなく、歩けなくなる可能性もあるなら家で様子を見るか。いずれにしても食事が積極的に取れるわけではなく、高齢であることも考えれば、危機的な状況といえました。

 そのことを娘さんに説明すると、このまま様子を家で見るのも忍びないため、病院に一度だけ入院させたいとの希望。そこで私は大学病院に連絡を取り、経過を説明し、温かい点滴を含む低体温症の初期治療を依頼しました。そして、症状が安定したら在宅で引き続き治療することも、病院の先生に約束したのでした。

 非常に思い入れのあるご家族でもあり、この続きを次回も取り上げたいと思います。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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