老親・家族 在宅での看取り方

心不全の80代父親を看る娘「缶ビールやハイボール1缶なら飲んでもいい?」

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 在宅医療を開始する患者さんの大半は、主にがん患者さんに見られるように、ご家族と相談の上で余命を自宅で過ごそうと決めた方です。

 比較的高齢の患者さんでは、これから先、ADL(日常生活動作)が衰えていくだろうと予想し、そのうち通院もままならなくなるだろうからと早めに在宅医療を開始される方も少なくありません。

 都内で1人暮らしをしている82歳の男性も、まさにそうでした。慢性心不全と慢性心房細動、さらに弁膜症を患っています。

 昨年末あたりまでは心機能を保ち、自立した生活を送っていました。娘さんが近くに住んでいて、時折、様子をうかがいに訪れるということ。昨年の冬にコロナに感染し病状が悪化。それに伴いいったん入院し、一時は利尿剤などの内服で症状が改善し、退院する見込みとなったのですが、今年1月に今度は突然脳梗塞を発症。別の総合病院に再入院となりました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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