「梅毒」が昨年の30%増ペース…患者急増で懸念される性感染症の医療崩壊

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「しかし、一番の問題は豊富な診断治療経験と専門的知識を持った医師が必ずしも多くないこと」と尾上医師は言う。

 7月10日に更新された性感染症学会のホームページに掲載された性感染症認定医は479人。多くは大都市のある都道府県に偏在し、和歌山・高知・宮崎・鹿児島(1人)、岩手・鳥取・島根・山口(2人)、青森・福井・新潟(3人)、広島・佐賀・長崎(4人)と5人未満のエリアが多い。山梨に至っては0人となっている。

「患者数が多い東京は89人いますが、今年都内で報告された梅毒の新規感染者2052件をすべて都内の性感染症認定医で治療したとすれば、現時点で23件もの新たな患者を引き受けていることになります。ところがその一方で性感染症がわかるベテラン医師は高齢化しており、現場から離れる人も増えています。にもかかわらず梅毒だけでなく他の性感染症も増えている。性感染症において受診したくてもできない、医療崩壊が起こらないか、心配しています」

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