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介護はもう無理だと思う…87歳の夫を看る85歳の妻の告白

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 6年前、夫は突然、左半身麻痺になりました。脳梗塞でした。それからは左手は使えず、左足を引きずって歩きます。買い物に行く時など、ほとんどの外出は私がクルマの運転で、夫には助手席に乗ってもらっています。この時から、たばこをやめてくれたのはよかったと思っていますけれど……。

 先月のある夜、夫がトイレの前で倒れているのを見つけ、呼び声に反応するのですぐに救急車を呼び、いつも通っている総合病院に運んでもらいました。当直の医師から「頭のCT検査では以前と変わらない」と説明されました。しかし、もっと調べてもらったところ、心筋梗塞でした。夜中の2時ごろになって、心臓カテーテル検査と治療を行い、集中治療室に入院しました。

 4日後、看護師さんから電話があり、代わって出た夫から「ありがとう」と言葉をかけられました。ああ、意識が戻って話せるようになったんだなと思いました。担当医は病状を息子に説明してくれていて、私は息子から話を聞いています。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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