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介護はもう無理だと思う…87歳の夫を看る85歳の妻の告白

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 さらに数日後、息子が医師から聞いた説明では、「心臓へのカテーテルで電気刺激をしていて、刺激しないでいると心電図では止まることがある」とのことでした。また、下肢にはひどいむくみがあり、腎臓の機能も悪くなっているといいます。

■施設に入るにはお金がかかる

 医師はペースメーカーを入れるかどうかを息子と相談しているようでした。ペースメーカーを付けると心臓は動き続けるらしいのです。また、ペースメーカーが入って、状態が落ち着いたら、この病院を退院しなければならないようです。そうなれば、転院か、老人施設か、自宅に帰るかになると思います。もし、療養型の病院が空いていれば、そこに移れるようならそのようにしたいと思っていました。

 ただ、施設に入るように言われたら、お金がかかります。また、わがままな夫が満足できるわけがないと思うのです。自宅に帰るとなると、今までと同じように動ければいいのですが、血圧が180以上もある私には負担が大きく、介護はもう無理だと思っています。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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