医者も知らない医学の新常識

血圧を最も効果的に下げる運動「アイソメトリックトレーニング」とは

血圧を下げるには「アイソメトリックトレーニング」が有効

 健康診断で高血圧やコレステロールの増加を指摘され、生活改善が必要だと言われたとします。それでは少し運動でもしてみようか、というのは、多くの方が考えることだと思います。しかし具体的にどのような運動をするのがいいのでしょうか?

 たとえば、1日5000歩以上歩くのがいいといわれていますが、これはトータルな健康への効果をみたものです。個別の症状や検査の異常に対して、どのような運動が最も効果的なのか、というような点については、これまであまり正確な情報がありませんでした。今年のスポーツ医学の専門誌に、高血圧に最も有効な運動のやり方についての論文が掲載されました。

 これまでに発表された270の研究に含まれる1万5000人を超えるデータをまとめて解析したところ、多くの種類のトレーニング法の中で、血圧を下げる効果が一番高かったのは、「アイソメトリックトレーニング」でした。

 これは、両手を胸の前で合わせて力を入れ、10秒くらいそのまま静止することを繰り返すような、関節は動かさないで筋肉を収縮させる、というトレーニング法です。他の有酸素運動や筋トレなどのトレーニング法よりも、この方法を2週間以上継続することが、血圧の低下には最も有効だったのです。こうした研究がより進歩すれば、個別の健康状態に合わせた、最も有効なトレーニング方法が利用可能となるかもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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