医者も知らない医学の新常識

高血圧治療は半年に1回の注射でOKに? 臨床試験がスタート

注射で良好な血圧コントロールが持続

 高血圧は動脈硬化を進行させ、脳卒中や心臓病などのリスクを高めます。そのため、高血圧と診断された人は血圧の薬を毎日飲む必要があります。

 最近ではオンライン診療や長期処方などにより、以前と比べれば病院に行く回数は減りました。それでも定期的に診察を受けたり、薬をもらったりすることは煩わしいことに違いはありません。

 もっと簡単に血圧が安定して、病院に行かなくても済むような、そんな高血圧の治療はないのでしょうか?

 実は、安定した血圧コントロールが長期間得られる、という新薬が開発されて、今、注目されています。それは「RNA干渉薬」という、特定の遺伝子を働かなくしてしまう特殊な遺伝子治療薬です。遺伝病の治療に使われることが多かったのですが、アンジオテンシノーゲンという血圧維持に関わるタンパク質の遺伝子を抑えることにより、高血圧治療にも応用されているのです。

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石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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