新しい注射薬は糖尿病治療のゲームチェンジャーになり得るか?

これまではインスリン注射が一般的だった

 今年4月、糖尿病患者の「血糖値コントロール」と「体重減」が可能な新たな注射薬が発売された。週1回だけでいい「マンジャロ」だ。

 これまで糖尿病の注射薬といえば、体の中で作れず不足したインスリンを外部から補充するインスリン製剤のイメージが強かった。しかし、この薬はインスリンの分泌を促しつつ、食欲を抑えるスイッチを押す注射薬。その結果、強力に糖尿病のマーカーであるHbA1cを低下させ、体重も減少させるという。糖尿病治療のゲームチェンジャーになり得そうな薬だが、実際はどうか。糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京都大田区西蒲田)の辛浩基院長に聞いた。

「これまでもHbA1cと体重を同時に減少させる注射薬はありましたが、マンジャロは効果が違います。日本では2.5ミリグラムから15ミリグラムまで、2.5ミリグラムきざみで6種類発売されていますが、薬の認可過程で行われた臨床試験では最大容量の15ミリグラムだと、投与開始から40週でHbA1cが平均2.3%低下し、体重は11.2キロ減少したそうです。むろん、これは平均値ですから、誰もが同じような効果を期待できるわけではありません。しかし、血糖と体重のコントロールに苦労している人にとっては朗報でしょう」

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