過労死を防ぐためには「動脈硬化」の検査を一度は受けたい…1カ月45時間超の残業で発症率アップ

過労死を防ぐためには「動脈硬化」の検査が効果的

 こうした心臓や脳の代表的な病気は虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、脳卒中(脳梗塞・脳出血)、心不全や不整脈で、とりわけ虚血性心疾患や脳卒中による過労死=突然死の大きな要因になるのが「動脈硬化」だ。

 心臓から送り出される血液を全身に行き渡らせる役割を担う動脈が硬くなる病態で、動脈硬化性プラーク(瘤)により血管の内側が狭くなって血液が流れにくくなったり、プラークが破綻して血栓がつくられることで、虚血性心疾患や脳卒中といった命に関わる深刻な病気の大きなリスク因子になる。つまり、動脈硬化がどの場所でどのくらい進行しているかをしっかり把握して対策を講じることが、過労死=突然死の予防につながるのだ。

■人間ドックではわからない

「動脈硬化は加齢に伴う血管の老化のほか、高血圧症、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病によって進行します。一般的な健康診断や人間ドックでは、これら個々の項目については判定できますが、それらがトータルで引き起こす動脈硬化の場所や程度ははっきり把握できません。ですから、動脈硬化性の心疾患や脳疾患のリスクが上昇する年齢に達した段階で、人間ドックのオプションや心臓ドック、脳ドックなど動脈硬化の程度を把握できる検査を一度は受けたほうがいい。男性なら50代、女性なら60代が目安ですが、生活習慣病を指摘されている人は男女ともそれより10年早めに受けることをおすすめします」

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