高齢者の歯科治療では「基礎疾患」の把握が重要なポイント

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 前回の記事でも触れたように、歯科治療を希望する高齢者が増えている。全身の病気を防いで健康寿命を延ばすには、口腔内ケアが重要だということが認知されてきたからだ。ただ、高齢者が歯科治療を受ける際には注意すべきポイントがあるという。斉藤歯科医院の根岸亮三氏に聞いた。

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 歯科治療では、既往歴や持病=基礎疾患の有無が重要になる。血糖や血圧の状態、常用している薬などによっては合併症のリスクが高くなり、実施できない治療もあるからだ。

 そのため、斉藤歯科医院では、初診の患者には詳細な問診を行い、持病、歯科も含めた既往歴、服用している薬、血圧の数値などを問診票に記載してもらう。

「しかし、高齢者は自分がどんな基礎疾患を抱えているのか、血圧や血糖がどのくらいなのか、きちんと把握していない人が少なくありません。定年退職後は定期的な健康診断を受ける機会がなくなり、自分でも気づかないうちに、血圧や血糖が治療が必要なレべルまで高くなっているケースもあるのです。その場合、抜歯やインプラントなどの出血を伴う外科的な歯科治療は合併症のリスクが高くなるので、いったん見合わせます」

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