Dr.中川 がんサバイバーの知恵

倉田真由美さんの夫は2度経験…がんの誤診を防ぐための患者の工夫

倉田真由美さん(C)日刊ゲンダイ

 がんの誤診では、一つの要因としてCTをはじめとする画像診断やその報告書の見落としが知られています。放射線診断医は画像から腫瘍とみられる影を見つけると、がんが疑われることを指摘する画像診断報告書を作成して、主治医に送ります。

 つまり、画像そのものの見落としのほか主治医が報告書を確認せずに見落とされることもあるのです。日本医療機能評価機構によると、2015年1月から17年9月までに見落としなど画像診断報告書の確認不足は32件でした。大学病院も含まれていますが、一般にがんの診断が不安なら大学病院や都道府県のがんセンターなどがん診療連携拠点病院でセカンドオピニオンを受けるのがベターです。

 その前にクリニックなどでの検査結果を受け取ったら、まず自分でチェックするのが一つ。自分で判断できず、医師や看護師など医療に詳しい友人がいれば、そういう人に相談するとよいでしょう。もちろん医師がベストですが、看護師のアドバイスも力になると思います。

 検査結果に付随する画像はCDでもらっておくことがお勧めです。時々、紹介状を書くことを渋る医師もいるのです。そういう医師は画像の提供も嫌がるかもしれませんが、そこはウソも方便。「親戚の医者がうるさいから」などと言うとよいと思います。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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